甲府駅から徒歩約15分。
甲府市中心部にあるOutsider Brewing(アウトサイダー・ブルーイング)の直営ブルーパブが、Hops & Herbs(ホップス&ハーブス)です。
建物の1階が醸造所、2階がタップルーム。

つまり、この建物で造られたビールを、そのまま上の店で飲めるというブルワリー直営店です。



平日の開店時間に訪れると、すでに数人のお客さん。
ダークグリーンの壁に木のカウンター、頭上にはずらりと並ぶグラス。オーストラリア出身のオーナー、マーク・メイジャー氏が立ち上げた店という背景もあってか、どこか海外のローカルパブに入り込んだような雰囲気があります。
そして、この店でまず試してほしいのがビアフライト。

訪問時は、
好きな4種類:900円
定番6種類すべて:1,300円
でした。
今回は迷わず6種類全部。
ヘレス、ベルジャンウィット、イングリッシュペールエール、アメリカンIPA、ベルジャントリプル、インペリアルスタウト。
同じブルワリーなのに、まるで別の飲み物のように味が変わっていきます。
6つのビアスタイルを一度に横断できる。
クラフトビールの面白さをかなり分かりやすく体験できるブルーパブでした。

Outsider Brewingとは?
Outsider Brewingが甲府でスタートしたのは2012年。
オーナーのマーク・メイジャー氏はオーストラリア出身です。
甲府で英語教師として暮らした後、2000年にバー「The Legend’s Bar」、2003年に「The Vault」を開業。

その後、中心市街地に再び人が集まる場所をつくりたいという思いから、「甲府の街中でクラフトビールを造る」という新たな挑戦を始めました。

それがOutsider BrewingとHops & Herbsの始まりです。
創業時のヘッドブルワーは、日本のクラフトビール界で知られる丹羽智氏。
現在はその技術を受け継ぎながら、小林桃子氏がヘッドブルワーを務めています。

店内には、これまで獲得してきたビールコンペティションの賞状やトロフィーがずらり。
2022年にはTHE SITH Imperial StoutがWorld Beer CupのBritish Imperial Stout部門で銅賞を受賞するなど、実績も十分です。
雰囲気はカジュアルですが、造っているビールはかなり本格派です。
山梨の素材をビールに取り込む
Outsider Brewingが大切にしているもののひとつが地産地消。
ビールには山梨県産の小麦や果物を使い、フードにも地元の肉や野菜を取り入れています。
さらに醸造後に残った麦芽粕を地元農家へ渡し、肥料として再利用しているそうです。
今回飲んだ中でも特に山梨らしいのが、
BOUQUET WIT
と
DRUNK MONK。
どちらも山梨県産の桃から採取した天然酵母を使用しています。
単に「山梨で造っているクラフトビール」ではなく、土地そのものをビールに取り込んでいる。
ここはOutsider Brewingを飲むうえで知っておきたいポイントです。

訪問時のビールラインナップ
訪問時は定番6種類に加えて、シーズナルビールも提供されていました。

今回飲み比べた定番6種類はこちら。
| ビール | スタイル | ABV | IBU |
|---|---|---|---|
| HELLES BELLS | Helles | 5.0% | 26 |
| BOUQUET WIT | Belgian Wit | 5.0% | 7 |
| THE COUNTIES | English Pale Ale | 5.5% | 28 |
| SASQUATCH | American IPA | 7.2% | 75 |
| DRUNK MONK | Belgian Tripel | 8.0% | 26 |
| THE SITH | Imperial Stout | 9.0% | 35 |
公式サイトでもこの6種類がHops & Herbsのレギュラービールとして紹介されています。

軽いものから順番に飲んでみました。
HELLES BELLS|苦味より麦芽の甘さを楽しむヘレス
Helles/ABV5.0%/IBU26

ヘレスはドイツ・ミュンヘン生まれの淡色ラガー。
「Helles」はドイツ語で「明るい」「淡い」という意味です。
同じ淡色ラガーのピルスナーと比べると、ホップの苦味を強く押し出すのではなく、
麦芽の柔らかな甘味
パンやクラッカーのようなモルト感
クリーンな飲み口
を楽しむスタイルです。
HELLES BELLSを飲んだ第一印象は、
軽やか。そして甘い。
IBU26ですが、苦味はほとんど気になりません。
むしろ麦芽由来の柔らかな甘さが前に出て、とても飲みやすい。
派手ではないけれど、何杯でも飲めそう。
旨し。
フライトの最初に飲むにはかなりいい一杯でした。
BOUQUET WIT|桃酵母とハーブが香るベルジャンウィット
Belgian Wit/ABV5.0%/IBU7

ベルジャンウィットはベルギー発祥の小麦ビール。
小麦による柔らかな口当たりに、オレンジピールやコリアンダーなどの副原料を組み合わせ、
柑橘
スパイス
ハーブ
柔らかな酸味
などを楽しむスタイルです。
BOUQUET WITはさらに個性的。
山梨県産桃から採取した天然酵母を使い、
エルダーフラワー、カモミール、ジュニパーベリー
も加えています。
飲んでみると、とても軽やか。
そして華やかでスパイシー。
IBU7なので苦味はほぼ感じません。
桃のジュースのような分かりやすい甘さではなく、柔らかなフルーティーさの周囲にハーブの香りがふわっと広がる。
「BOUQUET=花束」という名前がよく似合います。
これは美味い。
THE COUNTIES|モルトと苦味を楽しむイングリッシュペールエール
English Pale Ale/ABV5.5%/IBU28

イングリッシュペールエールは、ホップの香りを前面に押し出すアメリカ系ペールエールとは少し方向が違います。
特徴は、
モルトのコク
ビスケットやトーストを思わせる香ばしさ
穏やかなホップ香
しっかりした苦味
のバランス。
THE COUNTIESも一口目から、
モルティー。
そして、しっかり苦い。
前のHELLES BELLSやBOUQUET WITから飲み進めると、麦芽の厚みが一段増したことがよく分かります。
個人的にはゴクゴクいくより、
ちびちび飲みたい。
ハムカツやフライ、肉料理なんかを横に置きたくなる味です。
SASQUATCH|IBU75なのに意外とスルスル飲めるアメリカンIPA
American IPA/ABV7.2%/IBU75

アメリカンIPAは、アメリカ系ホップの個性を前面に押し出すスタイル。
代表的なのは、
グレープフルーツ
柑橘
松
樹脂
トロピカルフルーツ
などを思わせるアロマと、しっかりした苦味です。
SASQUATCHはIBU75。
今回の6種類では圧倒的に高い数字です。
かなり苦いだろうと思って飲んでみると、
あれ? 思ったほど苦くない。
もちろん苦味はあります。
でも、それ以上に印象的なのがトロピカルなホップアロマ。
華やかな香りが弾けます。
ABV7.2%もあるのに、意外とスルスル入ってしまう。
IBUは苦味成分の量を示す指標であって、人間が感じる苦味はモルトの甘味やボディなどとのバランスでも変わります。
その面白さを実際に体感できる一杯でした。
DRUNK MONK|甘くて重い、ベルジャントリプル
Belgian Tripel/ABV8.0%/IBU26

ベルジャントリプルは、ベルギーの修道院ビール文化から生まれた高アルコール系のスタイル。
7~9%前後の度数になるものが多く、
フルーティー
スパイシー
甘味
しっかりしたアルコール感
が特徴です。
色は比較的明るいのに、飲んでみるとかなり強い。
そこも面白いところ。
DRUNK MONKにも山梨県産桃から採取した天然酵母が使われています。
一口飲むと、
ずっしり。
甘く、フルーティー。
そして少し遅れてABV8%のアルコール感がやってきます。
前のビールとは明らかに重量感が違う。
これはガツンと食らう。
「DRUNK MONK=酔っぱらった修道士」という名前も妙に納得してしまいます。
THE SITH|8種類のモルトを重ねたインペリアルスタウト
Imperial Stout/ABV9.0%/IBU35

最後は真っ黒なTHE SITH。
インペリアルスタウトは、通常のスタウトよりも麦芽を多く使い、高アルコール・濃厚に仕上げるスタイル。
よく感じられるのは、
コーヒー
カカオ
ダークチョコレート
黒糖
ドライフルーツ
などのニュアンスです。
THE SITHでは8種類のモルトをブレンド。
一口飲めば、
ガツン。
どっしりとしたボディ。
カカオやコーヒーを思わせるロースト感。
でも、それだけではありません。
モルト由来の甘味や香ばしさが幾層にも重なっていて、温度が少し上がるとさらに表情が変わります。
ABV9%。
ゴクゴク飲むビールではありません。
ゆっくり時間をかけて飲みたい一杯。
フライトの最後に置くにはぴったりでした。
6種類1,300円のビアフライトがとにかく楽しい
Hops & Herbsへ初めて来たなら、個人的には6種類全部のテイスティングセットをおすすめします。

理由は安さだけではありません。
今回の6種類は、
ラガー
↓
小麦ビール
↓
英国系ペールエール
↓
アメリカンIPA
↓
ベルギー系ハイアルコール
↓
インペリアルスタウト
と、方向性がほとんど被りません。
だから、
「クラフトビールって、スタイルが変わるとこんなに味が違うのか」
を一度に体験できます。
クラフトビール初心者なら、スタイルの違いを知る入口になる。
ビール好きなら、同じブルワリーがこれだけ違うスタイルをどう造り分けているのか比較できる。
かなり優秀なフライトだと思います。
公式でも4種900円、6種1,300円で提供されています。
通常サイズも500mlで900~1,000円
通常サイズの価格もかなり良心的。
HELLES BELLS/BOUQUET WIT/THE COUNTIES
300ml:600円
500ml:900円
SASQUATCH/DRUNK MONK/THE SITH
300ml:650円
500ml:1,000円
です。
最近のクラフトビール相場を考えると、500mlで900~1,000円はかなりありがたい。
まずフライトで6種類を試し、
「これをもう一杯飲みたい」
と思ったビールを500mlで注文する。
この使い方がかなり良さそうです。
フードも充実。「味噌クリームほうとう」が気になる
今回は食べませんでしたが、フードもかなり充実しています。


訪問時には、
- 洋風枝豆 400円
- フライドポテト 500円
- ハムカツ 600円
- オニオンリング 600円
- 唐揚げ 600円
- HELLチキン 650円
- ソーセージグリル 700円
- ナチョス 700円
- マルゲリータ 800円
- スモークプレート 1,000円
- 鉄板ソーセージ 1,200円
などがありました。
そして一番気になったのが、
味噌クリームほうとう 1,000円。
山梨名物のほうとうを、そのまま出すのではなく洋風にアレンジ。
Outsider Brewing自身も、山梨の料理に「アウトサイダー」ならではの発想を加えた料理として、ほうとうをパスタのように提供するスタイルを紹介しています。
海外パブ的な料理と山梨ローカルが混ざる。
オーストラリア人オーナーの店らしい面白さです。
次回来たら、これは食べてみたい。
PINK SPRING|鮮やかな色が印象的なHazy Sour
Hazy Sour/ABV6.0%/IBU10

訪問時のシーズナルビールのひとつが「PINK SPRING」。
グラスに注がれた瞬間から目を引く、鮮やかなピンク色です。
スタイルはHazy Sour。濁りを残した外観と、酸味を主役にしたサワー系ビールを組み合わせたタイプです。IBUは10と低く、ホップの苦味を楽しむビールというより、酸味やフルーティーなニュアンスを楽しむ方向。
広めの店内。一人飲みからグループ利用まで
Hops & Herbsは、小さなブルワリー併設タップルームを想像して行くと、意外と広く感じます。
一人で飲みやすいカウンターがある一方、グループで利用できるスペースもあります。
さらに公式では20~50人で貸し切れるパーティールームも案内されています。

ダークグリーンの壁。
木のカウンター。
頭上に並ぶグラス。
壁にはビールコンペティションの賞状やトロフィー。
甲府のブルワリーなのに、どこか海外のパブっぽい。
ビールだけではなく、この空気もHops & Herbsの魅力です。
Hops & Herbsはこんな人におすすめ
- 甲府でクラフトビールを飲みたい
- ブルワリー直営店が好き
- ビアフライトでいろいろ試したい
- クラフトビール初心者
- ビアスタイルの違いを飲み比べたい
- IPAだけでなくラガーやベルギー系、黒ビールも好き
- 山梨ならではのクラフトビールを飲みたい
- 一人でもグループでも入りやすい店を探している
特に、
「ビールのスタイルの違いって、実際に飲むとどう違うんだろう?」
という人にはおすすめしたい店です。

店舗情報|Hops & Herbs/Outsider Brewing
店名
Hops & Herbs
ホップス&ハーブス
ブルワリー
Outsider Brewing
アウトサイダー・ブルーイング
住所
〒400-0032
山梨県甲府市中央1丁目1-5 ミヤザワビル2F
最寄駅
JR甲府駅
アクセス
甲府駅南口から徒歩約15分
電話番号
055-225-2012
営業時間
平日 17:00~24:00
土・日・祝 12:00~24:00
L.O. 23:30
定休日
火曜日
ビール
定番6種類+シーズナル/実験醸造ビール
ビアフライト
4種 900円
定番6種 1,300円
通常サイズ
300ml/500ml
価格
300ml 600~650円
500ml 900~1,000円
醸造所
建物1階
タップルーム
建物2階
駐車場
専用駐車場なし
Hops & Herbs公式ページ
Hops & Herbs店舗ページ
※営業時間、価格、ビールのラインナップなどは変更される場合があります。訪問前に公式サイト等で最新情報をご確認ください。
まとめ|山梨はワインだけじゃない。6杯並べるとよく分かる
Hops & Herbsで6種類を並べてみて、一番面白かったのは味の振れ幅でした。
HELLES BELLSは、苦味より麦芽の柔らかな甘味。
BOUQUET WITは、桃由来の天然酵母とハーブの華やかさ。
THE COUNTIESは、モルトと苦味をじっくり味わう英国系ペールエール。
SASQUATCHは、IBU75なのに数字以上にトロピカルな香りが印象に残るアメリカンIPA。
DRUNK MONKは、甘くフルーティーで、後からABV8%のアルコールが追いかけてくるベルジャントリプル。
THE SITHは、8種類のモルトを重ねたABV9%の濃厚なインペリアルスタウト。
軽い。華やか。モルティー。ホッピー。甘い。重い。
すべて同じOutsider Brewingのビールです。
山梨の桃から採取した酵母を使ったビールがあり、1階では実際にそのビールを醸造している。
そして2階の海外パブを思わせる空間で、6つのスタイルを少しずつ飲み比べる。
甲府でクラフトビールを飲むなら、かなり面白い一軒です。
次回来るなら、まずその日のフライトを一周。
そこで一番気に入ったビールを500mlで。
そして、まだ心残りになっている味噌クリームほうとうを合わせてみたいと思います。



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